「今日も仕事、行きたくないな…」
そんなことを毎日のように思っていた時期がありました。
寝ても疲れが取れなくて、朝の準備もいつもギリギリ。
気分が晴れることなんてなくて、何をしていても、心のどこかがずっと重たかったんです。
とりあえず会社に行くことだけが、自分にできる精一杯でした。
この記事では、そんな私が「辞めたい気持ち」と向き合い、最終的に「自分を守る選択」をしたときの体験を綴っています。
もし今あなたが、「限界かも…」と感じているなら、どうか無理せず、このまま読み進めてみてくださいね。
仕事に行かなくてすむ方法ばかり考えていた朝
朝になると、心の中がざわざわしてきます。
カーテンのすき間から差し込む光さえ、どこか重く感じていました。
「起きなきゃ」と思うのに、体が動かない。
それでも会社には行かなくてはいけない。
そんな気持ちが、毎日ずっと繰り返されていたんです。
あるとき、ふとこんな考えがよぎりました。
「もし今、何か起きれば…会社に行かなくてすむかもしれない」
本気でそうなりたいわけではないんです。
でも、それくらい“行くこと”がつらかった。
そんな自分が怖くて、余計に胸が苦しくなる。
だけど、誰にも言えませんでした。
「考えすぎだよ」「甘えてるだけでしょ」って言われそうで。
今思えば、あのときの私は、自分がどれほど追い詰められていたかに、気づいていなかったのかもしれません。
出勤が怖くなっていた
朝の支度をしながら、心の中ではずっと葛藤していました。
「今日は大丈夫かな」
「また怒られるかな」
「変に思われないかな」
玄関を出るまでに、何度も深呼吸をして、まるで戦いに行くみたいに、気合いを入れていました。
職場に近づくにつれて、鼓動が早くなっていくのがわかりました。
改札を抜ける手が震えて、駅のトイレに駆け込むこともありました。
電車に揺られながら、「引き返したい」「このままどこかへ行ってしまえたら…」って、そんな思いばかりが浮かんできて、涙がこぼれそうになる日も。
たかが出勤。
でも、私にとっては“こわい場所へ向かうこと”だったんです。
「会社に行きたくない」が口癖になっていた
気づけば、口に出す言葉がネガティブなものばかりになっていました。
「もう無理かも」
「行きたくないな」
「疲れた…」
それを聞いた家族や友人は、最初は心配してくれました。
でも、毎日のように繰り返していたら、だんだんと反応が薄くなっていって……。
「仕事なんてみんな嫌なもんだよ」
「我慢しないとやっていけないよ」
そんな言葉が返ってくるようになり、私はもう何も言えなくなってしまいました。
誰かに本音を言っても、理解されない。
だったら、黙って頑張るしかない。
そうやって自分の気持ちにフタをして過ごすうちに、だんだんと笑顔も減って、やる気も湧かなくなっていきました。
嘘をついてでも、休みたかった
ある朝、いつものように目が覚めても、体がまったく動きませんでした。
腕や足が重くて、布団がまるで岩のように感じたんです。
「今日は無理だ」
心の中でそうつぶやいたあと、携帯を手に取りました。
本当のことは言えなかった。だから嘘をついた
会社には連絡をしなければいけない。
でも、「精神的につらいです」なんて言ってしまったら、どんなふうに思われるか分からなくて、怖かった。
だから私は、とっさに嘘をつきました。
「熱があります。38度です」と。
すると、電話口から返ってきたのは、思ってもいなかった言葉でした。
「それでも来てください」
その一言に、心が凍りつきました。
やっとの思いで「休みたい」と伝えた私にとっては、その言葉は、まるで自分の存在を否定されたように感じました。
もう限界だったのに、まだ無理をしなきゃいけないの?
そう思った瞬間、心の奥で何かが静かに折れました。
「助けて」って言えなかった。言っても届かない気がしていた
本当は、ずっと言いたかったんです。
「もう限界なんです」
「誰か助けてください」
って。
でも、そんなことを言ったら迷惑をかけてしまう。
自分のせいで誰かが困るのが嫌で、つらさを飲み込んでいました。
「私なんかが弱音を吐いちゃいけない」
「もっとつらい人だっているのに」
そんなふうに、自分に言い聞かせて、口をつぐんでいたのかもしれません。
誰かに話しても、「気のせいだよ」「休めば元気になるよ」って軽く流されそうで。
だったら、黙っていたほうがラクだと思ってしまったんです。
でも本当は、ただ“気づいてほしかった”だけなんです。
「最近元気ないね、大丈夫?」って、たった一言でも声をかけてもらえていたら、少しは救われていたかもしれません。
でも現実には、誰にも言えなかったし、誰にも届かないような気がしていました。
だから私は、嘘をつくことでしか、自分を守れなかったんです。
このままでは壊れる、そう感じた瞬間
それは、ある夜のこと。
布団に入っても、まぶたを閉じても、まったく眠れませんでした。
頭の中はずっとざわついていて、落ち着かなくて…ただ、苦しい。
理由もわからないのに、ずっと苦しいまま。
何度も寝返りを打ちながら、ふと携帯に手を伸ばしました。
「心療内科」と打ち込んで、検索ボタンを押しました。
心のどこかで、誰かに助けてほしかったのかもしれません。
ただただ、どうにかしてくれる場所を探していました。
「心療内科?」「精神科?」「神経内科?」「メンタルクリニック…?」
どれが正解かなんてわからないまま、片っ端から調べていきました。
病院の名前を見て、住所を確認して、アクセスをチェックして…
そこまでやっても、やっぱり迷ってしまうんです。
「本当に行っていいのかな」
「大げさだと思われないかな」
そんな思いがぐるぐる頭の中をめぐって、携帯を握りしめたまま、じっと画面を見つめ続けていました。
心の限界サインは、ちゃんと出ていた
今振り返ってみると、あの頃の私には、すでにいくつもの“限界サイン”が出ていました。
- 眠れない日が続いていた
- ごはんを食べたくなかった
- 笑えなくなっていたのに、仕事では笑顔を作っていた
- 何もやる気が起きなかった
- 気づけば、涙が勝手に出ていることがあった
心も体も、「もう頑張れないよ」と伝えてくれていたのに、私はそれを無視して、「まだいける」と自分に言い聞かせていました。
でも、本当はずっとSOSを出していたんですよね。
もう、無理だ。やっとその言葉が心に浮かんだ
検索を続けながら、いくつかの病院情報を眺めていたとき、気づけば涙がぽろぽろとこぼれていました。
声も出ないまま、ただ携帯を握って泣いていたんです。
そのとき、心の奥からふと、小さな声が聞こえたような気がしました。
「このままじゃ、本当に壊れちゃうよ」って。
それは、自分でもはじめて受け入れられた“本音”でした。
それまでの私は、
「もっと頑張らなきゃ」
「まだ我慢できるはず」
「私が弱いだけなんだ」
「逃げちゃダメだ」
そんなふうに自分に言い聞かせて、無理に気持ちを押し込めて、ひとりで耐えていました。
だから、本当の気持ちに気づくことすら怖かったんです。
「大丈夫」って、思い込もうとしていたんです。
でも、ようやく素直にこう思えました。
「もう、無理なんだ」って。
それは、あきらめじゃありませんでした。
むしろ、「自分を助けたい」という本当の気持ちに気づけた瞬間だったんです。
そしてその気づきが、次の行動へつながる、最初の一歩になりました。
はじめて「助けて」と言えた日
ある日、研修のときにお世話になった女性スタッフ3人のうち、2人がうちの店舗に来ていました。
この2人の方(MさんとSさん)は、特に信頼できる方たち。
私はその姿を見た瞬間、「相談するなら、今日しかない」と思ったのです。
でも、うちの店舗はとても狭くて、常に誰かが近くにいます。
気軽に話しかけられる雰囲気ではないのですが、それでもどうしても伝えたくて…ずっとタイミングをうかがっていました。
MさんとSさん、どちらでもいいから助けてほしい…
その中で、たまたまSさんと2人きりになったほんの一瞬のタイミングで、声をかけることができたんです。
私は震える声で、勇気をふりしぼって伝えました。
「相談したいことがあるので、少しだけお時間いただけませんか?」
こんなふうに誰かに“助けを求める”のは、それが初めて。
でもSさんは、私の目をちゃんと見て、うなずいてくれました。
とはいえ、私はずっとバタバタ動き回っている状態。
「いつ時間がとれるんだろう」「本当に話せるのかな」と不安なまま、業務に戻っていました。
しばらくして、Sさんがそっと私に声をかけてくれました。
空いている小さな部屋に連れて行ってくれて、「さっきの話、聞かせてください」と言ってくれたんです。
言葉を探しながら、ゆっくりとこれまでのことを話していくうちに、涙が止まらなくなってしまいました。
声を出すのもやっとで、ボロボロと涙だけがあふれてきて。
それでもSさんは、やさしく最後まで話を聞いてくれました。
「なんだか元気がないなって思ってたんです」
その言葉に、思わずまた涙があふれました。
研修以来ずっと会ってなかったのに、あのときの“元気だった私”との違いに気づいてくれていた。
やさしく、まっすぐなまなざしで私の言葉を受け止めてくれたこと。
それがどれだけ救いになったか、今でもはっきり覚えています。
退職は「逃げ」ではなく、「自分を守る選択」だった
あのとき、思いきって「助けて」と伝えたことで、少しだけ空気がやわらかくなったように感じました。
以前、私に厳しく当たっていた人も、どこかやさしくなった気がしました。
でも…
もうその頃の私は、心の限界を越えていたんだと思います。
環境が少しずつ変わっても、それを受け取る余裕は、自分の中には残っていませんでした。
「辞めた私は負け」だと思っていた
最終的に、私は会社を辞める決断をしました。
正直なところ、その決断はすごく怖かったです。
「逃げたと思われるんじゃないか」
「弱い人間だと思われるんじゃないか」
そんな不安で、胸がいっぱいでした。
でも、それ以上に強く感じていたのは、「このままでは本当に壊れてしまう」という自分の心の声でした。
ようやく私は、その声に耳を傾けることができたんです。
でも「本当にこれでよかったのかな」って何度も何度も考えました。
「やっと解放される」とホッとした気持ちもあったけれど、それ以上に「悔しさ」「情けなさ」が大きかった。
「私は頑張れなかったんだ」
「耐えられなかったんだ」
自分を責める気持ちで、心が押しつぶされそうでした。
辞めたことを誰かに話すのも怖くて、「甘かったね」「我慢が足りなかったんじゃない?」なんて言われたらどうしよう…って。
本当は“自分を守るため”の決断だったはずなのに、そのときの私は、それをただの“逃げ”だと思っていました。
でも今は「辞めてよかった」と心から言える
あれから時間がたって、ようやく心にも少しずつ余裕ができました。
そして今、あのときの自分に言ってあげたいことがあります。
「あれは、ちゃんと自分に向き合った結果だったんだよ」って。
あのまま我慢を続けていたら、本当に心も体も壊れていたと思います。
辞めるという選択は、何も悪いことじゃない。
むしろ、“自分を守るために行動できた”ということ。
それはとても大きな勇気だったと思うんです。
会社を辞めることは、決して「逃げ」ではありません。
「自分の命や心を守るために、ちゃんと向き合った証」なんです。
だから今では、「あのとき辞めて、本当によかった」と、心からそう思えます。
同じように悩んでいるあなたへ伝えたいこと
この記事を読んでくださっているあなたが、もし今、「もう無理かもしれない」と感じているなら。
毎朝、起きるのがつらくて、涙をこらえながら出勤しているなら。
私は、あなたにどうしても伝えたいことがあります。
「逃げたい」は、心からのSOS
「もう行きたくない」
「逃げたい」
そんな気持ちがふと湧いてくるのは、心が限界に近づいているサインです。
でも、そんな自分を責めていませんか?
「私が甘えてるだけかな」
「もっと頑張らなきゃ」
そうやって、心の悲鳴を押し込めていないでしょうか?
私も、ずっとそうでした。
迷惑をかけたくなくて、平気なふりをして、「大丈夫」を繰り返して、自分をすり減らしていきました。
でもね、「逃げたい」と思うことは、決して弱さじゃないんです。
むしろ、それはあなたがちゃんと自分の心を感じ取っている証。
その気持ちを無視せず、やさしく受け止めてあげてほしいんです。
「辞めたい」は、あなたが悪いからじゃない
「もう続けられないかもしれない」
「この仕事、私には向いてないのかも」
そんなふうに思って、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも…覚えていてほしいんです。
あなたが悪いわけじゃない。
今いる場所が、あなたに合っていないだけかもしれません。
無理して頑張り続けることだけが、正しい選択じゃありません。
あなたが自然に呼吸できる場所は、きっと他にもあります。
そこでなら、もっと自然体で、笑顔のあなたがいられるはずです。
「逃げること」は、悪いことじゃありません。
それは、「自分を守る」という、大切な一歩です。
まとめ:仕事よりも大切なもの、それは“あなた自身”
毎日「頑張らなきゃ」と思っていたけれど、本当に大切なのは、あなたの心と体です。
つらいと感じた気持ちも、「逃げたい」と思った日も、全部、あなた自身が出してくれた大切なサイン。
無理をして続けることよりも、自分を守ることのほうが、ずっと意味があります。
もし、あのときの私に声をかけられるなら…
「逃げてもいい。あなたのままで、大丈夫だよ」って伝えたいです。
そして今、この文章を読んでくれたあなたにも、同じ言葉を届けたいと思います。
「大丈夫。あなたのままで、いいんです。」
この経験が、そんな誰かのために活きるなら、つらかった日々にも、少しだけ意味があったのかもしれません。