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【退職体験談】どうせ辞めるなら…と思ったけど「立つ鳥跡を濁さず」を選んだ日

【退職体験談】どうせ辞めるなら…と思ったけど「立つ鳥跡を濁さず」を選んだ日 社畜の履歴書

退職の決意って、簡単にできるものじゃないですよね。

「もう限界かもしれない」

そう思って退職を決めたとき、私は少しだけ“解放される気持ち”を感じていました。

でも…その「辞める日」の出来事が、まさかこんなにも心に残るなんて、想像もしていなかったんです。

最後まで苦しかった。

けれどその中に、ほんの少しだけ…救われた瞬間もありました。

あの日のことを、今、静かに振り返ってみようと思います。

迷いの末に伝えた「退職の意思」。震える声と、小さな覚悟

勇気を出した瞬間

心の中で何度も考えた末に、私は退職の意思を電話で伝えました。

声が震えていたのを、今でもはっきり覚えています。

実は、ここに至るまでには、たくさんの迷いや葛藤がありました。

心も体も疲れきっていて、「もう無理だ」と感じた瞬間が何度もあったんです。

このあたりのことはこちらの記事で詳しく書いていますが、( ▶ 仕事が辛くて辞めたい…毎朝「行きたくない」と思っていた私の話 )とにかくこの電話は、私にとって大きな一歩でした。

 

すると、電話の向こうで責任者の方が言いました。

「一度、直接お話ししませんか?」

思いがけない言葉に少し戸惑いましたが、「最後はちゃんと挨拶をしなきゃな」と思ったのです。

朝、指定された時間に店舗へ向かう道すがら、心のどこかではこう思っていました。

…もしかしたら、少しだけでもフォローしてくれる人がいるかもしれない。

そんな小さな期待を抱えていた自分が、確かにいたんです。

 

私はいつも一番に出勤していて、この日も例外なく一番乗り。

いつもと変わらない風景に、少しだけ胸が締めつけられるような気持ちになりました。

でも同時に、こんなふうにも感じていたんです。

「やっと、これで終われるんだな」って。

ほんの少しだけ、ホッとした気持ちがあったのも事実。

ただ待つだけの時間に、心が削られていった

店舗に到着してしばらくすると、まず最初に責任者の方が出勤してきました。

私の顔を見るなり、「少し待っててくださいね」と一言。

挨拶もそこそこに、そのまま奥へ入っていってしまったのです。

私は言われたとおり、バックヤードの椅子に座って待つことに…。

制服にも着替えず、そのままの格好で。

しばらくすると、ほかのスタッフたちが次々と出勤してきました。

でも私は、黙って座っているだけ。

周囲からすれば、ちょっと不思議な存在に見えたと思います。

目が合っても、誰かが話しかけてくることはありません。

なんとなく視線を感じるたびに、胸がざわついていきます。

気まずい空気だけが、静かに流れていました。

「何かあったのかな」と察した人もいたかもしれません。

でも、誰も何も言わないし、私も何も言えませんでした。

この空間にいること自体が、だんだんと苦しくなっていきました。

私は、すぐに話が始まると思っていたんです。

さっと話して、さっと帰る…そんなイメージでした。

でも現実は、何も始まらず、ただ時間だけが過ぎていく。

「なんでまだなんだろう」

「早く終わってほしい」

心の中で何度もそう思いながら、私はじっと座り続けるしかありませんでした。

想定外の“最後のあいさつ”に、心が追いつかなかった

心が追いつかなかった

ようやく声がかかったかと思ったそのとき、責任者の方から思いがけない言葉をかけられたのです。

「これから朝礼があるので、皆さんの前でごあいさつをお願いします。」

一瞬、耳を疑いました。

「え…なんで? 今さらあいさつって…」

そんな気持ちが頭の中を駆け巡りましたが、私は何も言えず、そのまま朝礼の列に加わりました。

目の前には、スタッフたちがズラリ。

私の存在をどう受け止めているのか、誰ひとり表情からは読み取れません。

空気の重さに胸の奥がじわじわと苦しくなっていきます。

私は涙をこらえながら、なんとか言葉を探し出しました。

「皆さんの貴重なお時間をいただいてしまって申し訳ありません。短い間でしたが、大変お世話になりました。」

たったそれだけのあいさつ。

でも言い終えるまでの時間が、ものすごく長く感じられたんです。

 

本音を言えば…

どうせ辞めるんだし、もう全部ぶちまけてしまってもよかったのかもしれない。

そんな思いが、ふっと頭をよぎりました。

それでも私は、言いませんでした。

心に浮かんだ言葉をぐっと飲み込んだんです。

そもそも、こんな場であいさつを求められるなんて思ってもいませんでしたし、「今さら、なぜ…?」というモヤモヤは、ずっと心の中で渦を巻いていました。

にらまれ、責められた。沈黙の中で感じた理不尽さ

朝礼が終わったあと、面談のために通されたのは、スタッフルーム兼更衣室になっている狭い部屋。

壁際にはロッカーが並び、空気がこもっていて、落ち着くにはほど遠い空間。

そこにはすでに、数人のスタッフも出入りしていて、私と店長のやりとりは、完全に“2人きり”という状況ではありません。

そんな場所で店長は椅子にドカッと座り、無言のまま私をにらみつけました。

一方の私は、立ったまま。

座れとも言われず、座ろうともできず、ただその場に立ち尽くしていました。

店長の視線が突き刺さるようで、心臓の鼓動が早くなるのが自分でもわかります。

そして、いきなり言われたんです。

「無責任だと思わないんですか?」

言葉の意味をすぐには飲み込めませんでした。

でも、すぐに続けてもう一言。

「研修にどれだけお金がかかってると思ってるんですか?」

 

え……?

 

正直、言葉を失いました。

そんなこと、ここで言われるなんて思ってもみなかった。

 

いや、知らんがな。

あなたが出したお金じゃないですよね?

私が悪かったの?

なんでこんなところで、こんなふうに責められるの?

 

心の中で、何度もツッコミを入れていました。

私はただ立ったまま、「申し訳ございませんでした」と小さく口にするしかありませんでした。

 

これまで店長とは、ほとんど顔を合わせることもなかったんです。

見かけたのは数回あるかないか。

「慣れてきましたか?」とか「困ってることない?」なんて、そんなひと言さえかけてもらったこともありませんでした。

接点なんて、ほぼゼロに近かった。

それなのに、最後の最後になって怒られるなんて…

どうして、こんな終わり方になるんだろう。

最後まで、自分のことをちゃんと見てもらえなかった。

そんな思いが心の底から湧きあがってきて、胸がぎゅっと締めつけられるようでした。

たったひと言が、心の重さをふっと軽くしてくれた

やさしいひと言に救われた

あの“面談”が終わったあと、私はその場を立ち去ろうとしていました。

……と言っても、あれを“面談”と呼んでいいのか、正直わかりません。

ただ一方的に怒られて、立たされたまま謝って終わっただけ。

そんな時間でした。

そんな私に、たまたまその場にいた一人のスタッフがそっと声をかけてくれたんです。

「気にしなくて大丈夫ですよ。」

そのひと言が、胸にすっと染みわたりました。

張りつめていた心が、ふっとゆるんだ瞬間でした。

誰も味方がいないと思っていたけど、そうじゃなかった。

ちゃんと見てくれていた人がいたんだ。

たったひと言でしたが、その優しさが心の重さをほんの少し軽くしてくれました。

そのスタッフの方は、在籍中からいつも優しくしてくれていた人でした。

新人の私にも分け隔てなく声をかけてくれて、特に、私が理不尽に怒られて落ち込んでいたときには、さりげなくフォローしてくれたことを今でも覚えています。

その人の言葉だったからこそ、余計に心に沁みたのかもしれません。

たったひと言で、人の心が救われることがある。

私はそのとき、それを身をもって感じました。

誰もがやさしいわけじゃないし、どれだけ頑張っても報われないこともある。

でも、ちゃんと見てくれている人はいるんだって、あのとき気づかせてもらえたんです。

そして、あの人のように、私もいつか、誰かの苦しさにそっと寄り添える人になりたい。

そう強く思いました。

言い返さずに去ることを選んだ私の、小さな誇り

もしもあのとき、感情のままに言い返していたら、きっとスッキリはしたと思います。

でも、それは違うなと思ったんです。

言い返すことで、自分の価値まで下げてしまうような気がして、私はやめました。

同じレベルに落ちなくて、よかった。

そう思えた私は、少しだけ大人だったのかもしれません。

去るときこそ、きれいに終わりたい。

「立つ鳥跡を濁さず」

その言葉を胸に、私は静かにその場をあとにしました。

まとめ:黙って去ることも、大人の選択

黙って去ることも、大人の選択

退職を決めたとき、「やっと解放される」と思っていました。

でも実際には、最後の最後まで心が苦しくなるような出来事がありました。

それでも、その中には小さな救いがあって、今振り返ると、確かに意味のある経験だったと思えます。

 

退職で悩むあなたへ伝えたいこと

  • 無理に全部ぶちまけなくていい
    黙って去ることも、自分を守る大切な手段です。
  • 優しさは思わぬところにある
    誰も味方がいないように見えても、見ている人はいます。
  • 「立つ鳥跡を濁さず」も一つの強さ
    言い返さない選択が、いちばん大人なこともあります。
  • 自分の気持ちを大切にしていい
    辞めることは悪いことじゃありません。

 

「退職を決めたからには、もう何を言われても関係ない」

そう思っていても、最後のやりとりは案外、心に残るものです。

私は今でも、あのときの自分の選択に後悔はありません。

むしろ、静かにその場をあとにできたことを、少し誇りに思っています。

いつか私も、あのとき声をかけてくれたスタッフのように、誰かの苦しい気持ちにそっと寄り添える人になれたら。

そう思えるようになったのも、この経験があったからこそ。

同じように退職を悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

 

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