「あれ?こんなはずじゃなかったのに」
新しい仕事に前向きな気持ちで飛び込んだ私を待っていたのは、やさしさとは正反対の世界でした。
研修での態度の変化、現場の理不尽な対応、誰にも相談できない空気…。
心と体が限界を迎えてしまった私の体験を、正直に綴ります。
同じような状況で悩んでいる方が、「自分だけじゃなかった」と思えるきっかけになれば嬉しいです。
やさしい雰囲気にホッとした、あの研修のはじまり
入社したばかりの頃は、不安と期待が入り混じっていました。
新しい職場、新しい環境、新しい人たちとの出会い。
それでも、最初に配属された店舗での数日間は落ち着いたもので、その後に行われた東京本社での入社式と研修は、さらに前向きな気持ちを後押ししてくれたのを覚えています。
全国から集まった同期たちは、年齢も経歴もさまざま。
多くが転職組だったこともあり、お互いに「不安だけど頑張りたい」という気持ちを共有できていました。
すぐに打ち解け、自然と「一緒に頑張ろう!」という雰囲気ができあがっていったのです。
覚えることは山ほどあって、分からないことばかり。
正直、戸惑いもありましたが、「がんばりたい」という気持ちの方が強く、毎日必死でついていこうとしていました。
その後、今度は地元エリアの配属予定者が集まり、近隣店舗の同期たちと数日間の研修が始まりました。
研修は女性スタッフ3名が担当し、最初のうちはとても穏やかで、優しい雰囲気が流れていたのをよく覚えています。
一人ひとりに丁寧に寄り添いながら教えてくれて、安心感のある時間が続いていました。
ここでも同期とのつながりが深まって、他店舗の人たちとも親しくなっていき、「このまま研修、終わってほしくないな」とさえ思ったほど。
指導してくれるスタッフの方々とも少しずつ会話が増え、信頼関係が築けてきたように感じていました。
けれど……
そんな空気が、あるときからふと変わり始めたのです。
研修の後半に差し掛かったころ、スタッフのひとりが徐々に厳しい態度を見せ始めました。
突然の態度の変化。「え…昨日までと全然違う」
研修の後半、実技の内容に入ったあたりから、空気がガラリと変わりました。
担当スタッフのひとりが、急にピリピリした態度を見せるようになったのです。
表情も言葉も変わり、これまでとまるで別人のようでした。
- 無言のまま、アゴで指示を出される
- にらむような鋭い視線で見られる
- 手を叩いて注意されることもあった
こちらとしては、真面目に取り組んでいたつもりでした。
でも、何をやっても「それはダメ」と否定されるばかり。
少しのミスにも厳しく反応されるようになり、どんどん萎縮していきました。
誰に相談していいのかもわからず、「もう早く研修終わってくれないかな…」と願う毎日。
それでも遅刻せず、毎朝時間通りに出勤していました。
心の中は重たくても、「行かなきゃ」と自分を奮い立たせていたのです。
研修とまるで別世界。現場で感じた“孤独と理不尽”
研修が終わり、いよいよ現場での勤務がスタートしました。
しかし、そこにあったのは、研修以上に厳しく、冷たい空気…。
誰かに声をかけるのもためらうような、ぴんと張りつめた雰囲気が漂っていました。
研修前とはまるで別人のように、みんなの態度が変わっていたんです。
同じ職場のはずなのに、「別世界に来たみたいだ」とさえ感じるほど。
配属初日から、「研修で教わってるでしょ?」という前提で指示が飛んできます。
でも、実際には研修で教わっていないことも多く、「え?これ、やるって聞いてない…」と戸惑う場面ばかりで…。
それを口に出すことすらできず、ただ必死に周囲に合わせようとする毎日。
不安や焦りがどんどん積み重なっていきました。
理不尽だと感じたこと | 実際の出来事 |
---|---|
教えてもらっていない業務を突然任される | 「新人でもできて当然でしょ」と言われる |
少しのミスでも厳しく叱られる | 手を叩かれることすらあった |
周囲との温度差に戸惑う | 無視されたり、目を合わせてもらえなかったりと冷たい態度 |
「できないなら努力しろ」という空気が、職場全体に漂っていて、心はどんどん縮こまっていきました。
誰にも相談できず、「私が悪いのかな」「もっと頑張らなきゃ」と、自分を責めるように。
最初の数日はやさしく声をかけてくれた人も、いつの間にか目も合わせてくれなくなり、冷たい態度へと変わっていったのです。
もちろん、中にはやさしい人もいたんですよ。
でも、だんだんとそのやさしさすら、本心なのかどうか分からなくなっていきました。
どれだけ頑張っても「できない人」扱いされた毎日
私は本当に、一生懸命努力していました。
怒られないように、遅れないように、できる限り指示に応えようと必死でした。
でも現場では、こんなことばかりが続いていたのです。
- 他の作業をしている最中でも、イヤモニで何度も呼び出される
- 対応できなければ叱られ、「何してるの?」と責められる
- 作業を掛け持ちしながら動いても、「遅い」と言われてしまう
「私の体はひとつしかないのに…」
そう心でつぶやいても、それを口に出すことはできませんでした。
現場には常に張り詰めた空気が流れていて、気持ちはどんどんすり減っていきました。
ある日、イヤモニの数が足りなくて、私には配られなかった日がありました。
でも、それを知らないスタッフが私を何度も呼び出していたようで、あとから「何で来なかったの?」と怒られました。
他にも、イヤモニで私語をしている人がいても注意されることはなく、一方で私は、仕事を進めていても「なんでやってないの?」と叱られることがありました。
やっていないことも責められ、やったことですら否定される。
何をどうしても「正解」にたどり着けないような感覚でした。
中でもつらかったのは、「普通、考えたらわかるでしょ?」という言葉をぶつけられたこと。
たしかに、何ヶ月も何年も働いている人なら、感覚でわかることなのかもしれません。
でも、私はまだ入って数日。
慣れていないことばかりの中で、そんなふうに責められるのは、とてもつらかったのです。
もう無理かも…。心も体も動かなくなった朝
ある朝、目が覚めた瞬間、体がまったく動かなくなりました。
出勤しなければ…という気持ちはあるのに、布団から出られない。
足が鉛のように重くて、思うように動けなかったんです。
頭の中では「また怒られるかもしれない」「また否定されるかもしれない」と、不安の言葉ばかりがぐるぐると回っていました。
仕事のことを考えるだけで、胸が苦しくなって、呼吸が浅くなって。
涙が出そうになることもあれば、実際に何もしていないのに涙があふれてくることもありました。
これが、「限界」というものだったのかもしれません。
心も体も、もう動けないよ、と教えてくれていたのかもしれない…
そんなふうに思いました。
それでも、「無理してでも行くべきなのかな」「休むなんて甘えなのかな」と、心の中では何度も自分を責めていました。
「あ、だから人が続かないんだ…」と気づいた瞬間
入社してすぐ、先輩スタッフのひとりがふと口にしたことがありました。
「ここ、けっこう辞める人多いんだよね」
そのときは、「そうなんだ〜」と軽く聞き流していたんです。
でも実際に働いてみて、その言葉の意味がよく分かります。
無理をしても報われない。
困っても誰も助けてくれない。
辞めたいなんて、口に出せる雰囲気じゃない。
そんな空気の中で、やさしい人ほど追い込まれていく。
頑張ろうとする人ほど、どんどん疲れてしまう。
それが、この職場の「普通」だったんだと、ようやく気づいたんです。
ある日、帰り道の駅から自宅までの道を歩きながら、無意識に泣いていました。
誰かに見られていたら恥ずかしいはずなのに、涙が止まらなかったんです。
心がすっかり疲れてしまっていたんですね。
まとめ:どれだけ頑張っても、合わない職場はある
この経験を通して、私はひとつの大きなことに気づきました。
それは、「どんなに努力しても、合わない環境というのは本当に存在する」ということです。
どれだけ真面目にやっても、優しくしても、がんばっても。
それが評価されない場所や、居場所を感じられない環境は、たしかにあります。
それに、すべての人が「怒られて伸びるタイプ」ではありません。
プレッシャーを感じると力が出せなくなる人もいれば、やさしく声をかけられて伸びる人だっている。
それが普通だと思うんです。
だから私は、過去の自分にこう伝えたいです。
あなたがダメだったわけじゃない。
ただ、その職場が、あなたに合わなかっただけ。
そして、もし今この記事を読んでいるあなたが、かつての私と同じように悩んでいるのだとしたら…
どうか、自分を責めすぎないでください。
頑張っているのに苦しくなるのは、あなたのせいじゃない。
合わない環境に身を置き続けることのほうが、よほどつらいことです。
心や体を壊してしまう前に、「自分を大事にする」という選択肢を思い出してほしいなと思います。
この記事が、今苦しんでいる誰かの心に、ほんの少しでも届いたら嬉しいです。