はじめは、「自分が弱いだけかもしれない」と思っていました。
でも、眠れない日が続き、朝になるとお腹が痛くて、玄関を出るのがつらい…。
「もしかして、この職場、合ってないのかもしれない」
そんな思いにたどり着くまでに、時間がかかりました。
これは、私が“働く環境に違和感を覚えながらも頑張ろうとし続けた”日々と、その中で気づいたことの記録です。
もし今、少しでも「つらい」と感じている人がいたら、きっとこの経験が、なにかのヒントになるかもしれません。
面接の最後に感じた、あの小さな違和感
面接当日。
会場には、私と同じように応募してきた人たちがたくさん集まっていました。
この会社、全国に多数の店舗がある大きな企業のため、面接も地域ごとにまとめて行われるスタイル。
受付を済ませ、待機部屋に全員が集まると、今日の流れを説明されました。
順番に一人ずつ名前を呼ばれて、別室へと案内されていきます。
私も緊張でドキドキしながら順番を待ち、名前を呼ばれて別室へ。
そこには複数の面接官が座っていて、面接は終始丁寧で落ち着いた雰囲気でした。
質問もスムーズに進み、思っていたよりもやわらかい対応に、少し安心したのを覚えています。
ただ、面接の最後。
その中のひとり、女性の面接官が、ふと笑顔でこう言ったんです。
「ここ、大変ですよ?」
やさしく、にこやかにそう言われたその一言が、なぜか胸に引っかかりました。
とはいえその場では、「仕事って、どんな仕事も大変なものだし」と思い、元気よく「はい、がんばります!」と即答。
採用されたい気持ちもありましたし、面接を無事に終えられたことに少しホッとしていたんです。
でも今になって思うと…
もしかすると“忠告”の意味があったのかもしれません。
出勤前日なのに連絡がない。不安から始まった職場生活
無事に採用の連絡をもらい、初出勤日が近づいてきました。
「前日までに所属部署から連絡があります」と説明されていたので、緊張しながらも連絡を待っていました。
でも、前日になっても、何の連絡もありません。
「えっ…私、ほんとに採用されたんだよね?」
不安な気持ちがぐるぐると頭を巡り始めました。
あのときの連絡は間違いじゃなかったはず。
でも、待てど暮らせど連絡はなく、ついには“確認する”というより、“恐る恐る確かめる”ような気持ちで、私は自分から電話をかけることにしました。
電話に出たのは、現場のスタッフの方のようでした。
「少々お待ちください」と、やさしい声で丁寧に対応してくれたのですが…
少々、どころではなく、結構待たされました。
保留音が延々と流れ続けるなか、胸のドキドキはどんどん大きくなっていきます。
「これ、大丈夫かな…私、もしかして伝達ミスとかで“いない人”扱いされてるんじゃ…」
不安はどんどん膨らんでいき、しまいにはこんな考えまでよぎりました。
「そもそも私、ほんとにこの会社に入っていいのかな…?」
ようやく、店舗の責任者らしき方が電話に出て、少しバタついた様子で明日の出勤について説明してくれました。
それで一応ホッとはしたけれど、心のどこかにぽつんと残った違和感。
それは、「あれ?私、もしかして忘れられてた?」という感覚でした。
なぜか私だけシフトが未定。予定の立たない毎日
出勤が始まって間もなく、ある違和感がじわじわと広がっていきます。
それは、「自分のシフトが、その日にならないと分からない」ということ。
勤務を終えるたびに、私はいつもこう聞いていました。
「明日は出勤ですか?」
他のスタッフはみんな、月単位でシフトを把握している様子。
「なんで私だけ、その日その日で聞かないといけないんだろう…」と少しずつモヤモヤが募っていきました。
たまに2〜3日分まとめて伝えてもらえることもありましたが、「明日は休みだよ」と言われて喜んでいたら、帰る直前になって「やっぱり明日、出勤してもらえますか?」と声をかけられることも…。
予定を立てたくても立てられず、「シフトって、何のためにあるんだろう……」と考えてしまうことが増えていきました。
仕事について分からないことがあっても、誰に聞いても丁寧に教えてもらえるし、不安になるような対応をされたことはありません。
けれど現場の空気は常に張りつめていて、どのスタッフもどこか余裕がないように見えます。
退勤時間になっても、なかなか帰れる雰囲気ではなく、気づけば「このまま残るのが普通」といった空気ができあがっていました。
「いつまでここにいればいいんだろう」
そんなふうに感じながら、無言で残業する日々が、少しずつ当たり前になっていきました。
朝がつらい。眠れない。体と心が出していた限界のサイン
毎日、不安定なシフトと張りつめた空気の中で働き続けているうちに、少しずつ、けれど確実に、心と体に変化が現れてきました。
夜は眠りが浅く、目が覚めても疲れが取れていないんです。
朝になると、お腹の痛みと一緒に、「仕事に行くのが怖い」と感じるように…。
これまでは、どんなに疲れていても「もう少し頑張れば大丈夫」と思っていました。
でも、ある日ふと…
「このままじゃ、ほんとうに倒れてしまうかもしれない」
そんな思いが頭をよぎったのです。
お昼の時間も、きちんと休憩できるとは言いがたく、食欲がわかない中、体力だけは保たなければと、無理やりおにぎりを口に運ぶ毎日。
でも、それは“食事”というより“作業”のようでした。
ほとんど休んだ気がしないまま、午後の業務に戻る。
終業後には疲れ果てて、何も考えられないまま帰宅するのがやっと。
本当はご飯を食べたほうがいいってわかってる。
でも、眠気と疲れがすべてを上回ってしまい、何もせずにベッドに倒れ込む日も多くなっていきました。
それでも、眠りは浅い。
夜中に何度も目が覚め、苦しさと焦燥感だけが胸に残る。
何がつらいのか、どうして泣いているのか、自分でもわからないまま涙があふれることもありました。
「これはもう、続けられない」
そう思ったとき、ようやく退職の決意を固めました。
退職を伝えたら、初対面の店長に責められた
退職を申し出たとき、思いがけない人物が現れました。
それは、今まで一度も話したことがなかった“店長”です。
呼び出された部屋に入った瞬間、私のことを無言でじっとにらみつけてきました。
あまりの空気に、何か言葉を発することもできずに立ち尽くしていると
「無責任だと思わないんですか?」
開口一番、そう言われたんです。
あまりに突然で、正直、言葉を失いました。
それまで一言も会話を交わしたことがなかった相手に、こんなふうに責められるとは思ってもいなかったからです。
もちろん、迷いなく決めた退職ではありません。
苦しくなるまで我慢して、それでも続けようとして、迷って悩んでようやく出した答え。
だからこそ、「無責任」という言葉は、強く刺さりました。
けれど同時に、「私のこと、今まで何も知らなかったはずなのに…」という思いが頭をよぎります。
その言葉をかける前に、もう少し関わってくれていたら。
ほんの少しでも、声をかけてくれていたら。
そんな思いが心の奥に残ったまま、私はその会社を後にしました。
この体験でわかった、「合わない職場」の見分けポイント
今回の出来事を通して、私は“合わない職場にはサインがある”ということを知りました。
そのサインは、大きなトラブルではなく、小さな違和感として現れることが多いように思います。
以下のようなポイントに、もっと早く気づけていれば…そう思わずにはいられません。
サイン | 解説 |
---|---|
面接時の違和感を無視しない | あの「大変ですよ?」は、実はけっこう正直なメッセージだった |
シフト未定は生活を崩す合図 | 先の予定が立たないと、心も体もじわじわ削られていく |
限界サインには早めに気づく | 「お腹が痛い」「涙が出る」ももちろん。でも本当に危ないのは、“眠れなくなる”ことかも。 |
特に、「眠れない日が続く」というのは思っている以上に深刻です。
睡眠不足は、じわじわと体力と気力を奪い、思考力や感情のバランスも崩してしまいます。
何をどう頑張っても、ちゃんと眠れない状態が続いているなら、それはもう壊れる手前のサイン。
「これくらい大丈夫」と我慢してしまいがちだけど、本当に大丈夫じゃなくなる前に、自分の状態を見つめることが大切だと感じました。
まとめ:違和感はサイン。自分を守れるのは自分だけ
今回の経験は、決して楽しいものではありませんでした。
けれど、それを通して「自分を大切にすること」の意味を、少しずつ知ることができたと思っています。
合わない職場に出会ってしまうことは、誰にでも起こり得ること。
それは、あなたのせいではありません。
「なんかおかしいかも」
「ちょっとつらいな」
そんなふうに感じた“違和感”や、“心と体の小さなサイン”は、思っているより正確に、あなたを守ろうとしてくれているのかもしれません。
だから、もし今、似たような状況にいる人がいたら、その感覚をどうか無視しないでいてほしいと思います。
自分の声に耳を傾けて、無理をしすぎないでください。
……なんて、あの頃の自分にも言ってあげたいですね。
シフトが出ない日々も、誰にも覚えられてないような日々も、あのときは必死でしたが、今では少しだけ笑って話せるようになりました。
当時の私にひとこと送るとしたら、こう言います。
「大丈夫、それ、いつかネタになるから。」
そして今、少しでもしんどさを感じているあなたにも伝えたい。
この経験が、あなたの未来のどこかで、誰かの力になることもあるかもしれません。
だから、自分を守る選択をしてもいい。
ちゃんと立ち止まって、自分のことを大事にしてくださいね。